◆心華獨笑◆ 
第四百五四稿
 「山の神々 第三十九集」




熊野神社の本殿



 やんごとなき事情により、このフォーマットでの「山の神々」はこれがラストとなる。ただ、最終回というわけではなく、ホームを変えて、今後も「山の神々」は続けて行こうと思っている。

 今回は、いつか何らかのテーマに沿って纏めるつもりでいた、ホルダーに溜っていた写真を、このホームページが更新終了する前に上げてしまおうと考え、急遽編集した稿になる。よって、テーマはない。



■小荒間辻の神仏■



 

小荒間の道端にある祠





何が祀られているのかは不明
 写真を撮った日付順に進めたい。まず最初は、大泉町の三分一湧水の近くにある、祠を中心にした石仏や道祖神や石碑のある一画。

 天気の良い日に、特にアテも無くドライヴをしていた。たまたま、意図せず三分一湧水の側を通った。ここの蕎麦屋はお気に入りで、たまに来ているので、この道自体、もう何度も通っている。

 路端に祠と石仏群があるのは前から見て知ってはいたが、近づいてちゃんと見た事はなかった。この日はなぜか、その気になって、車を降り調べてみた。

 予想通り、間近で見ても、何もわからなかった。後で調べるも、何も出てこない。おそらく、この辺りを開拓した時に、彼方此方に散らばっていた石造物を、ここに移設して、まとめてお祀りしているのだろう。

 田舎ではよく見る風景だが、殆どの記録が残っていないのが残念。



 

少し離れた場所に単体で立つ石仏

青面金剛だろうか
 

その近くにまた単体で立つ石仏

菩薩像



 ■街中の熊野神社■ 



 

熊野神社



 次は、甲府市の街中に建つ神社なので、山の神々とは言えないと思うのだが、少々気になる神社だったので、記す。

 実はこの時、映画を観に甲府まで出向いていた。山梨で映画が観れるのは、イオン・モール甲府にあるTOHOシネマだけ。一応シネコンなので、常に最新作の10本ほどの映画が掛かっている。

(余談だが、先日、今話題の『ちいかわ』もここで観たのだ)

 この日、なぜかイオン・モールがムチャクチャ混んでいて、広い広い駐車場に一台の空もなかった。仕方なく、敷地外にある第二第三駐車場を探した。ようやく空が見つかり、車を停めて、歩いて映画館の方へ向かっている時、偶然この神社をみつけたのだ。


本殿の前は運動場のようだ





境内には幾つかの摂社末社がある

これは「熊野大権現」
 だいぶ余裕をみて家を出たため、映画の始まりまでには、かなり時間があった。
これはちょうどイイ。時間つぶしと言っては神様に失礼だが、折角だからこの神社に参拝して、ゆっくり見学させてもらおう。

 そんなわけで境内に入り、参拝をした後、じっくり見させてもらったのだ。

 神社は「熊野神社」という。拝殿は新しい簡素なもので、その後ろに古い本殿がある。拝殿の前の広場はグランドのように広い。地域の祭りごとや、小さな運動会なら十分出来そうだ。

 主祭神は「伊弉冉命」(イザナミノミコト)、「事解男命」(コトサカノオノミコト)、
「速玉男命」(ハヤタマノミコト)の三神。熊野神社の定番と言えよう。

 ちょっと面白いのは、熊野神社で、速玉男命と事解男命が共に祀られる事が多いのだが、この二柱の神、どちらも『悪縁消除・絶縁・強い縁切り』の神とされている。つまり、全国に数有る熊野神社は、俗に言う、縁切り神社なのかも知れない。



 

道祖神かと思われる


御神酒を模った窓 



 本殿の周りには幾つもの摂社・末社が祀られていた。その中の一つの石祠に注目した。なんと、屋根に盃状穴が穿たれていたのだ。発見した時、思わず「あ!盃状穴、みーっけ!」と叫んでしまった。

 「盃状穴」とは、石碑や石仏などの石造物に、人工的に開けられた盃状の穴。開けられている場所は決まっておらず、規則性もなく、意味不明の穴。だがしかし、確実に何らかの意図を持って故意に開けられた穴なのだ。

 この盃状穴には研究者も居て、いろいろ調べているのだが、未だその答えは謎のまま。以前、我々は、山梨県教育委員会の埋蔵文化財センターが主催する、盃状穴の研究会に参加していたので、今回の発見は喜び一入だったのだ。

 境内にはその他にも、熊野大権現、道祖神、稲荷が祀られていたが、最後に大木の根元で見つけた小さな石祠は、間違いなく「ミシャグチ神」の祠であった。

 今となっては、「ミシャグチ神」の祠は、一目でわかる。


この石祠の屋根部分に注目



 

おお!なんと、屋根に盃状穴が!

屋根の上に、横並びに開いた四つの穴が盃状穴



 

奥には稲荷が祀られている


一際目立つ赤い祠 
 

中には「正一稲荷大権現」と彫られた石


この石祠は間違いなく「ミシャグチ神」

縄文の古代神が祀られているのだ
 



  ■先達の神仏■





この辺り一帯を開墾した記念碑 





ここで弁当を使わせてもらおう
 また別の日。あまりにもお天気が良く、清々しい日だったので、お昼を外で食べようかという話になった。まずは、コンビニへ向かい、おにぎりなどを購入する。その弁当を持って、アテも無く車を走らせた。どこか素敵なランチ場所はないかしら。

 テキトーに車を走らせても、中々イイ場所がない。天気が良すぎて、日影がないと、弁当を広げる気になれない。モロに太陽にさらされると、いくら高原だとは言え、暑くてたまらない。

 美しい八ヶ岳を横目で見ながらドライヴを続けていると、大きな石の記念碑が立つ場所が、旨い具合に日影になっている。車も路肩に停めれそうだ。

 よく見ると、ずらりと石仏も並んでるぞ。よし、ここで弁当を使わせて戴きましょう。というわけで、ようやくランチ・タイム。





八ヶ岳が美しい

左から、西岳、編笠山、権現岳、三ツ頭
 



 

石祠と道祖神
 

かなり古い石祠が幾つもある



 

ずらりと並んだ石仏



 この立派な記念碑は「先達区記念碑」といい、この辺り一帯を開墾して、農地に整備するという一大事業の完成を記念するものだった。ここは長野県に入っている場所だが、八ヶ岳の編笠山の山麓にあたり、本来は延々と続く傾斜地である。この一帯を平地にして田畑を作るのは、ものすごく大変な事だったろうと想像できる。

 この記念碑の周辺に集められた祠や石仏は、おそらくこの一帯の彼方此方に祀られていたものを、開拓工事の際にここにすべて移設して、纏めてお祀りしたものであろう。

 ここも石祠や石仏についての記録は残ってはおらず、本来どこでどのように祀られていたのかは知る由も無い。


道祖神はカワイイ



■境の神明神■



 

ドライヴ中に偶然見つけた神社





境村の「神明社」
 最後は、「神明社」。先達の石碑でお弁当を使わせて戴き、野外でランチをすると言う目的は達成したのだが、とにかくお天気が良くて気持ちがいい。このまま帰宅するのもなんだかもったいない気がした。で、そのまま、アテもなく広がる田畑の道を、行った事の無い集落の方へ車を走らせる。

 すると、辻の曲がり角に石鳥居を発見。車を停めてさっそく鳥居をくぐる。
参拝を済ませ、境内を見て廻るも、何の説明看板もなく、本殿以外には何もない。鳥居の扁額で「神明社」であることしかわからなかった。

 「神明社」ということは、御祭神は「天照大神」(アマテラスオオミカミ)であるのは間違いないが、それ以外はわからない。

 おそらく、ここも明治時代に国に強制的に「神明社」にされた神社で、元は何か土着の土地神が祀られていたのだろうと想像する。

 八ヶ岳山麓という場所的な事を考えると、やはり「ミシャグチ神」であった可能性も十分有り得る。



 

村の鎮守の神さま
 

何の説明もなかった





 というわけで、一旦このホームページでの「山の神々」は終了です。続きは別の場所で。

 ホームページ終了前に、なんとか一稿書いておこうと、ちょっと無理矢理上げちゃいました。だから今回は、自分の写真整理的なものになってしまい、稿としての纏まりは有りません。

 とは言え、ここに上げた場所はそれぞれ素晴らしいところばかりで、もし八ヶ岳に来る機会が有れば、地味ではありますが、立ち寄って見る事をお薦めしますよ。





ここで食べたおにぎりは美味しかったなあ〜





令和八年 八月吉日




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