◆心華獨笑◆ 
第四百四二稿
 「オオムラサキ」




「オオムラサキセンター」 本館ジオラマにて



 八ヶ岳の朝晩はすっかり涼しくなってきた。山の上の方は徐々に紅葉が始まっている。いよいよ秋めいて来たという感じ。

 そんな中、今回はちょっと前の7月の話になる。夏が本格的になろうとする頃、我が家の庭で育てている植物たちの手入れをしていたよーこが、なにやら騒いでいる。

 「うわー! なんだコレ? キャー! めっちゃ綺麗な蝶がいるよー! 見て見てー!」

 なんだ、どうした、と庭に出て見てみると、そこには見たことも無いような美しい蝶が・・・。



 

我が家に飛来した、オオムラサキ





オオムラサキのずーと後ろにブーシカが寝そべる
 すぐさま調べてみると、この蝶は「オオムラサキ」。なんと、我が国の『国蝶』に指定されている、非常に貴重な蝶だとわかった。

 日本の『国蝶』が我が家の庭に遊びに来たのだ。なんたる幸せ。八ヶ岳山麓の森の中に移住して、10年。だが、こんな美しい蝶は初めて見た。

 なぜ、我が家に飛来したのか? どこからやって来たのか。最近この辺りに、生息地が出来たのか? 今までにも実は来ていたのか。だが、見たのは初めてなワケで、その生態については知る由も無く、ただただ、美しさに見惚れるばかり。

 しばらくすると、「オオムラサキ」はヒラヒラと森の中のどこかへ飛んで行ってしまった。





なんて美しいんだ! 


我が家のテラッコッタの上で休息
 





ネットで拾った「オオムラサキ」の幼虫の映像 



 よーこは、俄然興味が湧いたらしく、ネットで「オオムラサキ」について、あれこれ調べ始めた。すると、いろいろ情報や写真がたくさん出て来た。中でも「オオムラサキ」の幼虫の写真に夢中になったようである。

 「キャー! カワイイー! こんな子が、我が家のもののけの森に居るのかなあ? もしそうなら、探したいなあ〜」

 そして、更に、好奇心と探究心はどんどん膨らみ、ついには北杜市にある、「北杜市オオムラサキセンター」に行きたいと言い始めた。


確かに、めっちゃカワイイ





「北杜市オオムラサキセンター」 駐車場入口
 





さて、いよいよ、入場します
 「北杜市オオムラサキセンター」は、隣の韮崎市に買い物に出かける道の途中にあり、いつもすぐそばを通っている。その施設の看板は毎度必ず目に入って行いるのだが、施設自体に行った事は無かった。

 よし!じゃあ、今度お天気がイイ日に行ってみようか。そんなわけでこの日に出かける事にしたのだ。自宅からセンターまでは、車でわずか20分の距離。

 そんなに近くにあるのに、なぜ今まで行かなかったのか。それは、今まで興味を持っていなかったに過ぎない。更に言えばセンターが幹線道路の一本裏道にあるため、その規模も、全貌も、入口さえも、見たことがなかったからだ。



 幹線道路から横道へ曲がると、すぐにセンターの駐車場の入口だった。地味な門構えだが、駐車場はとても広い。その駐車場は周りを木々に囲まれ、施設はまったく見えなかった。

 車を停めて、林道のような道を、森の奥へ入って行く。するとやがて、立派な建物が現れた。オオムラサキセンターの本館だ。

 まずは、玄関先に設置された顔出しパネルで、お約束の記念撮影をして、いざ入館。料金は大人一人420円也。

 因みに、グーグル・マップで上から見ると、本館は蝶の形になっているのだった。


本館の入口





なんと! 上から見ると、本館の建物は蝶の形になっている!

( Google Map より )
 



 

まずはお約束の顔出しパネル

幼虫のよーこ
 

成虫になったよーこ



 

本館のメインのジオラマ





自然の生態系のジオラマ
 本館にはいると、メインのジオラマが広がっている。オオムラサキが生息する雑木林を再現したものなのだ。様々な動物達も居る。

 まず、ここで、オオムラサキについて説明する。

 オオムラサキ (タテハ蝶科コムラサキ族)
学名:Sasakia charonda Hewitson (ササキア・カロンダ・ヒューウィトソン)

 1957年(昭和32年)に日本昆虫学会において、日本の代表的な格調高い華麗な蝶として、『国蝶』に決まった。羽を広げると10センチ以上になる大型のタテハ蝶で、美しい紫色に輝くのはオス。成虫は6月下旬から7月下旬にかけて羽化する。

 我が家に飛来したのは7月の下旬。ということは、やはり、もののけの森のどこかに、オオムラサキの生息地があるのだろう。





キツネ 


カモシカと共に 
 

世界の蝶の展示
 

延々と蝶の標本展示が続く





オオムラサキ観察施設「ひばりうむ長坂」 





「ひばりうむ長坂」の中
 ジオラマがメインの「本館」から、蝶の標本がメインの「森林科学館」という施設を見学すると、オオムラサキの自然生態の観察施設である「ヒバリウム長坂」という巨大な植物園のような施設へ続く。

 この「ひばりうむ長坂」は、網で覆われた巨大な鳥かごのような施設で、金網の中に自然の森を再現しており、ここで、オオムラサキの生態を観察するというもの。

 ただ、残念ながら、我々が訪れた時が、成虫の時期が終わって卵が産みつけられた時期。つまり、最も何も見れない時期だったのだ。

 まあ、実際の美しい成虫を、我が家の庭で間近に見れたのだから、それで十分なのだが。





中はものすごく広い 


オオムラサキの卵は見つけれなかった 



 

施設の裏手に広がる自然観察林の吊り橋



 「ひばりうむ長坂」では、残念ながらオオムラサキの観察はできなかった。

 すべての施設を見終り、外に出て、施設の裏に広がる自然観察林のほうへ行ってみた。小川に掛かる吊り橋を渡ると、長閑な風景が広がっている。田んぼの向こうには水車小屋が見えた。イイ景色だ。よし、あの水車小屋まで行ってみよう。

 実は、この日は8月の中旬で、お天気は素晴らしく良かったが、当然それなりの暑さなのである。ほんの少し森を歩いただけで、すっかり汗だくになっており、延々と広がる観察林の散策を、どこで切り上げるか迷っていた。水車小屋は切を付ける最終目的地として打って付けだったのである。


吊り橋の向こうは深い森





とても絵になる水車小屋 





日本昔ばなしに出てきそう
 茅葺の水車小屋は、日本昔ばなしに出てくるような雰囲気のあるものだった。残念ながら、中には入れなかったが、回りを十分に楽しむ。

 いつものことだが、こういう景色の中に佇むと、つい「木枯し紋次郎」の世界に居るような錯覚に襲われ、向こうから早足で紋次郎が歩いてくるのを幻視してしまうのだ。そして更に、亡き上條恒彦さんとの思い出に浸ってしまう。

 ♪どーこかでー 誰かがー きいっと待ってー いてーくれるー





向こうから紋次郎が歩いてくるような・・・ 


中に入りたかったなあ 





観光旅行に来たみたいだね 



 水車小屋の表に広がる田んぼには、案山子が立っていた。案山子はユーモラスであると言えなくもないが、やっぱり不気味さもある。なんとなくコワイのだ。

 今、話題のホラー・ゲーム、『サイレントヒルf』に、めちゃくちゃコワイ案山子のバケモノのクリーチャーが登場する。現在、我々夫婦は、ユーチューブで、タレントの狩野英孝がこのゲームを悪戦苦闘しながらプレイするゲーム実況を見ている最中なのだ。だからこの案山子たちが、よけいにコワイ。

 因みに、『サイレントヒルf』の舞台の町は、岐阜県下呂市の金山町がモデルとなっているのだが、実はこの金山町には、自分の親戚が住んで居るのだった。


案山子が立っている





案山子って、なんだか・・・ 
 

なんだか、ちょっとコワイな






きゃー! やっぱり、コワイ!!





 そんなわけで今回は、我が家に飛来した「オオムラサキ」を切っ掛けにして、楽しい一日を過ごすことが出来た。自宅のすぐそばにこんな立派な施設が有るとは思ってもみなかった。灯台下暗しで、自宅近くにはまだまだ知らない見所がたくさん有るのかも知れない。

 この稿を書き終わった今、八ヶ岳はすっかり寒くなってきた。そろそろ薪ストーブの準備をしなくては。
みなさんも季節の変わり目で、体調を崩さぬよう、ご注意くだされ。それと、案山子には十分ご注意なされよ!

 さて、次回の狩野英孝のゲーム実況が楽しみじゃわい。





オオムラサキセンター入口に座る樹木老人 





令和七年 十月吉日 八ヶ岳は寒くなってきた




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