◆心華獨笑◆ 
第四百三五稿
 「平出遺跡」




復元された古墳時代の住居



 ついに7月に入った。真夏の到来。連日の猛暑が続く中、今回はまだそれほど暑くなかった頃の、前稿の続き。6月に入り梅雨入り間近というタイミングで、ちょっと遠出をして、長野県塩尻市にある『奈良井宿』に遊んだ。

 その帰り道のルート上に『平出遺跡』という縄文集落の遺跡があり、ここも前々から行きたかった場所だった。
第一目的の奈良井宿を見終って、もし時間に余裕があれば寄ろうと考えていた。

 奈良井宿をゆっくり、たっぷり楽しんだが、日暮れまでにはまだ時間の余裕は十分あった。そういうわけで、
この日、第二の目的地である平出遺跡を訪れた。





復元された縄文時代の集落 





じつに気持ちの良い場所だ
 奈良井宿へ向かう行きの道中、高速道路で重大事故が発生し、途中大渋滞にハマり、現地で遊べる時間はかなり短くなったかと思っていたが、案外余裕だった。奈良井宿だけで帰るつもりで、焦らず慌てずゆっくり見学したのだが、帰り道にある平出遺跡に寄る時間は十分あった。

 平出遺跡は、奈良井宿からの帰り道として使う国道19号線の途中、脇道にほんの少し入った場所に有り、奈良井宿から車で30分程の場所にある。

 ただ、帰路の途中で寄れるとは言え、その見学範囲は非常に広く濃厚で、更に博物館まで有るので、時間に余裕が無い状態で慌てて観るような所ではない。



 平出遺跡には午後3時過ぎに到着した。だだっ広い草原に、復元された縄文住居が立ち並ぶ。復元された集落だとわかっていても、まるで縄文時代にタイムスリップしたような感覚になり、非常に美しい風景だ。

 平出遺跡は全体が30haという広い敷地で、それらが大きく3つのエリアに分れている。即ち、「縄文のムラ」「古墳時代の村」「平安時代の村」である。

 駐車場に車を止めると、目の前が「縄文のムラ」だった。


イイ景色だねえ〜


 

「縄文のムラ」




発掘された竪穴住居跡

「また、発掘やりたいなあ〜」
 縄文の竪穴住居が立ち並び、集落が復元されたエリアの隣には、実際に発掘された竪穴住居の跡が点在している。その遺構からは、多くの土器土偶が発掘され、それらは後に訪れる博物館に収容されている。

 よーこは以前、北杜市教育委員会・埋蔵文化財センターの発掘機関である、「茅ヶ岳歴史文化研究所」のスタッフとして勤めていたことがあり、その時は実際に遺跡発掘の作業に携わっていた。

 今回の遺跡を見て、ウズウズしてきたという。
「うひょ〜、たいへんだったけど、またやりたいなあ〜」
と発掘作業を懐かしんでいた。


 

「古墳時代の村」の復元住居


 「縄文のムラ」エリアから、更に奥に進むと、「古墳時代の村」エリアとなる。このエリアにも幾つもの住宅が復元されている。

 どちらも茅葺の竪穴住居ではあるが、縄文と古墳時代では、その作りがだいぶ違う。古墳時代のそれは、建屋がかなり大きくなり、内部が広く、竃まである。

 外見を見て、その大きさの違いはあきらかだが、造りの差も歴然としており、縄文の簡易的な小屋の作りに比べて、古墳時代は堅牢でどっしりした家屋然とした造りに変わる。


竃の前で




内部はずいぶん広い
 内部も古墳時代のそれは快適に思える。広いというだけでなく、居心地が良いように工夫されているように見えるのだ。

 しっかりとした竃の設えられており、団欒するのに相応しい空間造りがなされている。

 我々はかつて、北杜市にある「梅之木遺跡」の復元された縄文時代の竪穴住居で一泊過ごしたことがあるのだが、快適とは言い難かった。それに比べ、こちらの古墳時代の住居は、ずいぶん快適に過ごせそうに思える。

 その他にも、掘立柱の高床式穀物庫も復元されている。これなどは、伊勢神宮を代表とする、神明式の古い神社の神殿の原型を見ることが出来る。


 

復元された掘立柱の高床式穀物庫

神社の神殿の原型と思われる


 

中々良い雰囲気
 

素晴らしいバランス


 一通り見て廻り、駐車場向かいに有るガイダンス棟という建物に入った。ここは博物館ではなく、遺跡の説明資料などがあり、スタッフのおじさんが一人、ポツンと座っていた。

 おじさんと少々お喋りをして、お土産として販売していた土偶のレプリカの文鎮を購入した。 (それは後ほどお見せする)

 ゆっくり見学したので徐々に陽は傾き始め、時間が押してきた。野外の展示物は時間の制限はないが、博物館は入場時間の制限が有る。せっかくここまで来ているのだから博物館は是非とも見たいと思い、慌てて向かう。

 博物館はこの遺跡に隣接しておらず、車で10分ほど離れた場所にあるのだ。


ガイダンス棟


 

「平出博物館」




えれぇ、地味な外観だな
 博物館の入場時間には間に合った。入館料は大人一人300円也。平日の夕方であるからか、見学者は我々の他は誰も居らず、実に静かだった。

 受付のおじさんは親切で、展示物について、ザッと説明してくれた。更に本物の縄文土器で触れるものも有るので、是非手で触れて感じて見て下さいと、教えてくれた。

 博物館の展示は、平出遺跡からの出土物を中心に、市内全域の遺跡から発掘されたものも展示されている。



 展示物は、縄文時代〜古墳時代〜奈良時代〜平安時代の遺物。中心になるのは、やはり土器土偶だ。

 自分にとっては実に興味深く、面白い展示物ばかりだが、興味のない人にとっては退屈な場所かも知れない。その一つの理由としては、「目玉」とするような、たとえば国宝の土偶とかが無いからだ。

 自分の目から見れば、展示物のすべてが国宝級だと言っても過言ではないものばかりなのだが、考古学や古代史に特に興味がない観光客にとっては、「目玉」がなければ面白くないのであろう。


玄関ホール



 

魅力的な壷が並ぶ    欲しい物ばかりだ



 

様々な土偶


石斧や鏃の展示 
 

館内はは思ったより広く部屋数も多い
 

けっこう見応えが有る
 

男根の石棒
 

「鳥形硯」 (奈良時代)

硯コレクターの自分には垂涎の逸品だ



 

「ドラエモン土偶」と「ネコちゃん土偶」  どちらもカワイイ





「縄文土器に触れてみよう」のコーナー
 閉館間際までじっくり見学した。どれもこれも面白くて欲しい物ばかり。中でも「ドラエモン土偶」と「ネコちゃん土偶」は最高だった。今晩、大泥棒になって盗みに入ろうか。

 出口近くには「縄文土器に触れてみよう」のコーナーがあり、土器の欠片や壷などを実際に触ってみる。

 実は我が家にも縄文土器の欠片のコレクションはかなり有り、その中でも特に、韮崎市に有る「坂井遺跡」から出土した、今から9000年前の土器の断片は自慢だ。

 たっぷり楽しんで、野外展示場の方へ向かう。



 

3号復元住居 (古墳時代)



 博物館の裏手の山の中に、復元された古墳時代の住居と、実物の古墳がある。

 今現在は、鬱蒼とした木々に囲まれた森の中の斜地なのだが、実際にこの住居で生活が営まれていた古墳時代は、おそらく開けた日当たりの良い土地だったのだろう。

 復元住居から少し離れた場所には、実物の古墳があり、当時この辺りが、有力者が収めていた大きな集落だった事がわかる。

 現在見学できる古墳は一つだが、実際には近隣に幾つもの古墳が有り、「平出古墳群」と呼ばれている。


掘立柱の高床式穀物庫





 平出2号古墳





古墳の石室の入り口 


中に入れないのが残念 





古墳の上に登れる
 ゆっくり、しっかり見学を終えた。縄文の発掘現場から復元住宅、古墳時代の復元住宅から資料館、博物館から古墳まで、考古学と古代史でお腹一杯である。

 さあ、帰りましょう。国道19号を走って諏訪湖を目指す。諏訪湖までくれば後は良く知った土地になる。

 朝からたっぷり楽しめたこの日は、諏訪湖に有る回転寿司で打ち上げになった。





平出遺跡でゲットした「ドラエモン土偶の文鎮」とオマケの「猪の根付け」 





パッケージもカワイかった
 こちらが平出遺跡のミュージアム・ショップで購入した「ドラエモン土偶」のレプリカの文鎮。小さい物だが、文鎮なので、金属製でそこそこの重さが有る。

 ミュージアム・ショップのおじさんは、こちらが支払いで出した万札のおつりが無く、かけまわって汗だくでおつりを持って来てくれた。申し訳ない事をしてしまったものである。

 家に帰り、可愛らしいパッケージの箱を開けると、中から文鎮の他に、オマケとして、焼き物で出来た小さな猪の根付けが出て来た。ちょっと嬉しいオマケであった。



 

博物館に展示されていた

「ドラエモン土偶」の実物


お土産に買ったレプリカの文鎮 
 

箱の中にオマケとして入っていた

「猪の根付け」


こんな大きさ 



 

今回も、色々ゲット出来て嬉しかった!

コレは「奈良井宿」で買った箒





 そんなわけで、梅雨入り前の一日を、二回に渡り報告しました。

 「奈良井宿」も「平出遺跡」も、もう一度行きたいと思うほど良い場所だった。また、我が家に遊びに来た人で、行ってみたいという希望があれば、喜んでご案内申し上げますよ。

 いよいよ夏休みシーズンがやってくる。小淵沢が観光客で溢れるシーズンだ。だから、8月いっぱいまでは、八ヶ岳に来ることはお薦めしない。9月に入り、秋の兆しが見え始めたら、是非遊びにおいでー。





充実した一日でした





令和七年 七月吉日 猛暑がやって来た




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